CULTURE2023.03.10

仕事も価値観もシェアする、2社のパートナーシップ。

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目次

NEWとPATTERN PLANNING。ふたつの会社は事務所も仕事もシェアしているが、別々の法人である。珍しい協業のスタイルで歩んできたこれまでと、これからのことを代表の二人に聞いた。

〈左〉倉内 法生 Kurauchi Norio(株式会社NEW 代表取締役) 〈右〉赤坂 若菜 Akasaka Wakana(PATTERN PLANNING株式会社 代表取締役)

2014年の起業から現在までを振り返って

倉内:あっという間だったね。体感で3秒くらいのあっという間感。ひとりのときも忙しくはあったけど、全然ちがう。法人成りしてからあきらかに内容とスピードが変わって、気がついたら5年経ってたね。コロナ禍もあったから途中で足元を見直したり、先のことをわかなちゃん(赤坂)とも話し合いながら進んできたよ。ときにぶつかったりもしながら(笑)。

赤坂:まったく合ってなかったわけじゃないけど、最初は働く価値観が少し違ったと思う。でもお互い違うことは理解していたし、違う中で何がベストかを考えてぶつかったという感じだよね。お互いに新しいものとかいいものは貪欲に取り入れようと考えながら、スタイルが変わってきた部分もある。私なんて最初は法人化しようとは思ってなかったし。

倉内:当時はひたすら目の前のことをガムシャラにやってた。俺が独立したのは、当時所属していた広告会社での仕事の形を変えたいなと思ってなんだよね。もっとプロジェクトの川上から関われたら、やれることの幅が広がるのにって。例えば小さなお店のロゴだとしても、頼んでくれた人と近い距離感でやり取りして「評判いいんだよ!」って言ってもらえたらすごく役に立てている気がした。独立に不安もリスクも合ったけど、やりがいの方をとったって感じ。そうやって、結局4-5年ひとりでやってたのかな。

独立から法人化へのきっかけは?

倉内:当時からデザインの前後も提案する!とやっていたけど、手が回らなくなってしまった。お客さんと話す時間を増やして、夜に事務所に戻ってデザイン作業をやったらもう家に帰れないなって。そこからスタッフを雇うことを考えはじめて、事務所を借りよう、オフィスにしようって思った。そのタイミングで一緒に事務所を借りるなら誰がいいかなって考えた時に、仕事仲間だったわかなちゃんに声をかけたんだよね。

赤坂:それまでは個人事業主でやっていこうと思ってたけど、事務所を借りることになって、私も法人としての在り方を考えはじめたの。逆に事務所のことがなかったら、まだ個人のままだったかも知れない。

倉内:まわりを考える余裕なんて当時はなかったから、この場所ができてコアなことを話し合いながら、だんだん想像してなかったことも生まれるようになっていったね。

事務所のシェアからどんな変化があった?

赤坂:最初は場のシェアから始まったんだけど、そこから仕事や価値観のシェアにも広がっていったって感じかな。「ブランディング」という共通項はあれど、会話を重ねてお互いに持っている武器が違うことが分かっていった。そこから手伝ってもらえないかな?とお互いにサポートしあう形に。始めは2社でやる強みをお客さんにも提案しづらかったけど、だんだん役割分担も明確になって、自信を持ってプロジェクトを進められるようになったね。

倉内:似たようなスタイルの会社はあるのかも知れないけど、うちと全く同じ考えでやってる人は他にいないと思う。だからこそ2社でやることを最初は理解されないことも多かったね。でも実績が増えるとそんなことも言われなくなったし、頼みたい!と言ってもらえることも増えていった。前は「圧倒的なデザインさえあれば伝わる」と思ってしまっていたけど、今はクリエイティブ一辺倒じゃなくて、優しさも愛もあるからこそもっとクリエイティブも光らせることができるって思うようになったね。

 

いま感じている課題は?

倉内:最近入社してきたメンバーは、自分のところに来たというより「NEWに来た」という感じでレイヤーが違うし、まだ一緒に過ごした時間も少ない。そういうメンバーも気持ちよく働ける環境を整えていきたいね。だからこそお客さんにとっても、気持ちいい仕事ができると思うからさ。
今いるメンバーの誰が欠けてももう仕事はまわらないから、みんながいいパフォーマンスを出せるように、やるべきことはたくさんあるよ。でも人数が増えるほど、このツートップスタイルでいるメリットも出てくるよね。

赤坂:同じ悩みを共有できる社長がすぐ隣にいるから、意思決定のスピード感も早くなっていくし、単純に目が届く範囲も広がるよね。私は意図的にノリオさん(倉内)と話す頻度を上げていて、時間がなくてどっちかしか判断できないみたいなときに、ほぼ同じ感覚で決定できるかみたいなことも意識してるんだよね。常に考え方や体験を共有できていれば、感覚が近くなっていくから。

倉内:全員が同じものを吸収していると、出てくるものも近づいていくよね。メンバーそれぞれが専門性を極めつつ横断的に学び合えたり、お客さんとのコミュニケーションもみんなで行っていけるようにしたいな。ひとりひとりの適正も考えながら、能力を2倍3倍にストレッチさせられることを任せていきたいと思ってる。

ふたりはどんな会話をしている?

赤坂:やっぱり会話は大事だから、仕事の打ち合わせ以外でもとにかくよく話してるよね。「こう考えてるんだけど」「これ参考になると思うんだけど」とか雑談することを意識的に心がけているし、雑談の質をあげようとも思ってる。ただしゃべってるというよりは、みんなも聞いているし、思考のヒントになるプロセスを表に出すみたいな。こういうの流行ってるじゃん?とかもあえて口に出して言うこともあるね。

倉内:めちゃめちゃ話すよね。食事しながらでも「あいつ最近大丈夫かな?」とか「調子いいよね!」とか。8割くらいは社員のことを話している。前提として俺たちは、誰でもよくて入れてるわけじゃない。ひたむきに頑張れるか、人のためにやれるかというのを大切にしている。

赤坂:ノリオさんも私も、会社の歯車を作りたいわけじゃない。だから普通だったらとにかくスキルがあればOK!って判断するかもしれないところを、当たり前のことを真剣にやっていける仲間かっていうのも重視しているよね。仕事をする時間は長いから、会社に入ったことでその人の人生も楽しくなってほしいとも純粋に思ってる。会社にとってだけじゃなく、その人の成長にもつながればって。

お客さんからの反応をどのように感じている?

倉内:日頃から自分たちが作ったものや現象をできるだけ肌で感じたいと思っていて。その中でクリエイティブスナックも始めたけど、ありがたいことに生の声を聞く機会が増えた。自分たちのやってることを細かく見てくれていたりとか、Instagramを通して社員ひとりひとりのことまで知ってくれていたりする。「Instagram見てお店に行ってきました!」とか言ってもらえると、伝わってるんだなって実感するよね。社員にもそういう場を通して、「ここで働いてよかったな」と思える瞬間をたくさん作っていきたいと思ってる。

赤坂:改めて言っておきたいのは、NEWの圧倒的にすごい部分はクリエイティブに関してのキャッチのしかた。世の中の流れとか空気をつかんで、人がドキドキするポイントを拾い上げる感覚っていうのかな。時代の半歩先を行くぐらいのクリエイティブは、最初に出会ったときからずば抜けていると思ってる。今でもInstagramの画像ひとつサッと作るだけでも、天才的だなと思ったり。それはNEWのDNAだよね。

これから入ってほしい人は?

倉内:まずは愛を持っているってこと。そして人に好かれる人がいいね。自分たちの仕事はお客さんも含めて一つのチームで進めていくから、愛や思いやりを持って行動できるかはすごく大事。あとは瞬間的に消費されてしまわないような、世の中に残るクリエイティブとはなにかってストイックに突き詰められる人かな。

赤坂:新しいものとか方法に興味を持てること、あとそれが好きな人かな。古いものを壊すとかって意味じゃないんだけど、変わっていくことに貪欲になって、みんなで楽しみながら走れる人がいいね。

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