名古屋 店舗デザイン ジョンスミス

「ジョンスミス」名古屋栄に開業。昼はハンバーグ、夜は居酒屋のブランドプロデュース。

目次

プロジェクトの背景と課題

Background & Issue

新たなコアとなる自社ブランドの立上げ

これまで関東・関西圏にて主にFC業態を中心にフランチャイザーとして展開していた大塚フーズ。以前開発したはじめての自社ブランドが好調の為、続いて新たな業態の開発を考える中で担当デザイン会社選定の一つとして当社に問い合わせいただきました。依頼内容は店舗及びグラフィックデザイン。当社の実績の中でイメージに近い業態がありビール会社とタッグを組んで新規業態開発を進め、業態の内容、方向性、収支など大方が決定し残るは店舗デザインというフェーズで初回ミーティングに参加することに。クライアントの希望としては、

① ランチとディナー別業態にし二毛作にすること
② 大衆酒場であり、入店しやすい
③ 属人的ではないメニュー構成が必須
④ 肉バル業態との差別化


当時、流行っていた「大衆酒場」×「肉業態」でコンセプトを作っていた中でのオファー内容は「業態コンセプト、デザインの方向性は決まっているので、そこに準じたグラフィックと店舗設計をお願いしたい」とのオファーでしたがミーティングを重ねる中で、個性的な繁盛店が続出する昨今、消費者目線での差別化は今回のコンセプトでは難しいと感じ、そもそものコンセプト再策定を提案し、プレゼンすることになりました。

市場調査

Marketing Reserch

名古屋 栄というエリア

新たな業態開発のフックになる最初のコンセプトを策定するために、まずは店舗周辺の調査を。地域で差別化を図るために、どのような業態や店舗があるのか?また特性はどのようなものか?を徹底的に調べ上げます。ランチ業態はハンバーグと決まっていたが、とは言え、スタイルや雰囲気に始まり提供方法や厨房器具、演出方法などは未決定の状態。エリア的には名古屋駅が再開発に伴い新しい出店が目立ち人通りや活気もある反面、その昔メインであった栄エリアは若者のファッションビルはあるものの今は勢いはない。まずは〝そこ〟にいる若者の琴線に触れる様なファッション的な感度が必要か。

栄の飲食店の様相

先だってコンセプトとしていた「大衆酒場」がとにかく多い。通り一つみても大衆系酒場だけでもゆうに4〜5軒が並ぶ。まるでチェーン店のように皆一様に同じ様なファサードを構えている。特筆すべきはとにかく看板が大きく、しかも多い。ビルの壁面はほぼ巨大看板で埋め尽くされている。歩道に目を移せば、自立の発光看板がチカチカと輝き栄の盛場 錦も隣接している為、夜のギラついた歓楽街の程。「大きく他の店舗よりも目立つ様に」と競い合った結果だが、逆にそれとは違う顔つきを作れば、ある程度視認される可能性はある。

提案とクリエイティブ

Creative & Solution

業態コンセプトの再設定

和風や大衆はもう食傷気味であるが、誰もが気軽に立ち寄れる酒場であり、若者の感度に触れる酒場とし、バルではない洋のテイストを入れ込むことにしました。Mr.ジョンスミス という日本が好きで住み着いた外国人が始めた日本風の居酒屋。一見店名には見えないネーミングと洋風?でも中のカウンターは酒場?両方の良いところを融合し心地よい不協和音を生み出す。メニューも洋風を和テイストにアレンジしたり、その逆もしかり。「妙な外国人が俺でも作れるようなお家の料理を振る舞っている」その国じゃない人が作る新しさや面白さを前面に出し、誰からも愛されるコンセプトを設計。

昼はハンバーグ、夜は鉄板酒場。Mr.ジョンスミスの肉料理を。

昼にも夜にも登場する「肉」という共通アイテムをモチーフにブランドカラーは肉色。全員が熱く情熱的なクライアントの企業風土にも通ずる暖色カラーのえんじ色をキーカラーとしました。円形のアイランドカウンターをぐるりと囲むロング鉄板。ハンバーグはもちろん、あたかも自前の鉄板のように眼前の鉄板で最終仕上げを自分で調整して焼き上げる。夜は鉄板を使用した料理を熱々で提供。

大衆感を感じつつ、〝和〟ではない内装デザイン

大衆感を醸成させるカウンター造作だが、仕上げにチープ感のある木とステンレスなどの金属を使用することで現代人の感度に響くものとしている。椅子もあえて造形のきれいな現代的なものを採用。躯体壁をそのままにし前述の要素やグラフィックが一体となり、どこか洋風だが安心で入りやすい酒場感を醸成している。

メニュー開発と周辺

「属人的では無いこと」
という初期設定があったが、協議を重ねる中で地域性、差別化を鑑みて、ある程度の手仕事は必要と方向転換。現場厨房スタッフと何度も試作を重ね、デザイン同様昔からあり昭和感を感じる料理に1エッセンスを加えた新しいものにしました。試食をしフィードバックからポーションを考え器やカトラリーを決めるという作業はクライアントとの信頼関係も深まっていき、オープンまで一気に走りきれるかどうかはこの関係構築も肝となってくる。関係や信頼をデザインしていくのもブランディングには欠かせないもの。

結果と成長フェーズ

Result

オープン初日には行列をつくりたい

かねてから、クライアントオーナーより「初日には行列を作りたい。あたらしい店舗ができたという登場感と活気が欲しい」と熱望されていた。いよいよオープン当日。開店時間前から予想を上まわるお客様が列を作り、大行列となりました。オープン前から進めていたInstagramによる事前投稿やマイクロインフルエンサーマーケティングを駆使し期待感を醸成し見事行列を形成することができました。ランチとディナーの二毛作でのれんのクリエイティブを大胆に変更し昼夜ファサードの顔つきが大きく変わる存在感も相まって話題に。
その後も数々のメディアや口コミにより繁盛店となったジョンスミス。今後はFC展開を目指し各地方都市へ進出予定です。コロナ真っ最中で緊急事態宣言がひっきりなしに発令される難しいタイミングで、最適なオープン時期を狙い、新しい業態として会社の軸を作り出した粘り強い企業姿勢は見事でした。

その後ものれん等のクリエイティブやリール動画など消費者を飽きさせない様々な施策を実行し、現状はクライアントにて自走フェーズとなりました。今回、名古屋、札幌と、繁盛店や参考になるメニュー、業態をクライアントチームと一緒に走り回りお互いのバイブスを調整していくのはとても勉強になりました。今後もジョンスミスが名古屋栄の灯となるように共に取り組んでいきたいと思います。

業務領域

SCOPE OF
WORK

  • SNSプロモーション
  • VI
  • インテリアデザイン
  • グラフィックデザイン
  • サインデザイン
  • ネーミング
  • ブランド開発
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  • メニュー開発アドバイザリー
  • 内装設計
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  • 店舗デザイン
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